税理士法人アクシス様は、120名以上の従業員を抱え、社労士法人、行政書士法人、業務代行会社等のグループ会社とともにお客様の事業を手厚くサポートする徳島県の会計事務所です。その中で、業務の設計・改革をご担当されている笠井雅也さんにお話を伺いました。
税理士法人アクシス職員の皆様(中列一番左が笠井様)
---- まず、事務所について教えて下さい。
創業50年を数える当事務所は、 税理士、社会保険労務士、行政書士など多種多様なプロフェッショナルが在籍するグループ体制を強みとし、顧問契約、相続対策、事業承継などをワンストップで対応してきました。
そんな事務所の企業理念として大事にしていることは、「お客様のムスメ・ムスコになる」という意識です。私たちは、お客様の経営状況をより良くし、皆さまに幸せな人生を送っていただくことこそが、事務所の存在意義だと考えています。その思いを体現するべく、お客様のムスメ・ムスコのように共に課題の解決策を考え、ご提案・実行することを意識しています。
---- 「P4 資料回収」の導入にあたっては、どのような課題の解決を目的とされていたのでしょうか。
あるとき、多くのフリーランスをパートナーとされているお客様から、その方々の確定申告をまとめて引き受けてほしいというご依頼がありました。1件あたりの関与は確定申告のみという軽いものである一方、件数は500件ほどというボリューム案件です。しかも地域は国内各所に散在していました。
この案件を受けるにあたっての論点は採算性でした。ボリュームが確保されている中で、1件あたりの手間やミスを含むコスト、つまり変動費次第で、案件としての魅力はプラスにもマイナスにもなります。具体的には大量の件数に対して発生するコミュニケーション、データ管理、ヒューマンエラーといったコストに対して、通常の顧客対応の単純な積み上げではない、ボリューム案件ならではの合理化が求められていました。
---- "合理化"の内容について教えて下さい。
対応策としてまず最初に思いつくのはエクセルによる管理ですが、自由度が高すぎるがゆえに作成者が予定していない操作が(お客様だけでなく事務所メンバーによっても)行われ、意図通りに動かなくなってしまうリスクがあり、そもそも発生した問題の把握や検証がしにくいという問題があることはこれまでの長いエクセル経験から容易に想像がつきました。
また、様々なバージョンのファイルが自由に生まれてしまい混乱をまねくという問題はweb版をつかえばなんとかなるものの、関係者各位への適切な通知やアクセス制限、回収データの紐付け等は大きなハードルとなります。そもそもエクセルを扱えないお客様も多くいらっしゃいます。
そこで、もう少し目的を特化したツールを探すこととなり、おおまかにいうとフォーム作成ツール、タスク管理ツールが候補として挙がりました。
この点、汎用的なフォーム作成ツールでは通常、提出者として匿名のゲストが想定されており既存の顧客リストとの紐付け(なりすまし対策)が困難だったり、提出後のステータスを含め、「タスク」としての管理ができない等の悩みがありました。
一方でタスク管理ツールは開発プロジェクトの管理を想定されているものが多く、それらは多機能ではあるものの情報量が多すぎて、会計事務所のお客様層にはご利用をお願いできないものでした。
---- そこで最終的にたどり着いたのが「P4 資料回収」。
はい、そういうことです。資料提出と質問を組み合わせたフォームを作成し、あらかじめ登録した顧客本人に対してその提出をタスクとしてアサインする、という、フォーム作成ツールとタスク管理ツールをあわせたようなサービスといえばわかりやすいでしょうか。
今回の確定申告では、お客様にアンケート形式で取引有無を確認するとともに必要書類も提出いただく、といった運用イメージになります。
顧客一覧メニューとフォーム編集メニュー(サンプル)
「差戻し」をはじめとしたフォーム提出以降もつづく、事務所タスクとしての進捗管理もできる他、特に提出者側のユーザー体験には配慮がなされており、シンプルな画面、かつLINEを通じたやりとりや、場合によっては顧客の担当者として指定した事務所メンバーによる代理回答も行える等、両者のいいとこどりが実現されています。
お客様にとっても進捗状況がわかりやすく、またコメントで督促や依頼もできるので双方にとって負担なく作業をすすめられたかなと思います。ご利用いただいた後のアンケートでも、システムに関する不満等はありませんでした。
この導入により、先述したボリューム案件ならではの合理化が達成されたといえます。
コメントメニュー(サンプル)/ コメントは顧客ごとかつタスクごとに管理され、LINEからの送受信も可能
---- 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
これまでボリューム案件への対応についての課題と解決についてお話してきましたが、「P4 資料回収」を活用してこのような対応が効率的にできるようになったことには、事務所の事業戦略上の大きな意義があると考えています。
コロナ禍の副産物としてオンラインでの仕事上のやりとりに対する抵抗が中小企業においても小さくなっている中で、事務所の立地が攻めにも守りにも作用していた士業の世界でも、全く離れた地域で事務所と顧客の関係が成り立つ段階が本格化しつつあると考えられます。
この不可避の流れをピンチととるかチャンスととるかは、この流れにあわせた新しい業務フローを設計できるかどうかにかかっているのではないでしょうか。
お客様とともに歩む我々の理念は、必ずしも多くの時間とコストをかけてお付き合いすることを意味しません。それを望まないお客様にまで押し売りするのではなく、本件を含め時代とともに変化する様々なニーズに応えることのできる事務所を継続的に目指して参ります。
本社所在地:徳島県徳島市北島田町1丁目3番地3
webサイト:https://m-staff.com